
最近、企業の情報も増えてきて、本格的に就職活動を始める時期かなと感じている方は多いかと思います。大学3年生のMさん(女性)もそろそろインターンや合同会社説明会の情報を集めようかな、と考えているようです。今回は業界についての考え方、絞ったほうがいいのかどうか、について一緒に学んでいきましょう。

- ワタナベ:
- そういえばMさんは就職活動で行きたい業界を絞っているんですか?
- M さ ん :
- はい。明確には言えないんですが「空間デザイン系」に行きたいと思っています。
- ワタナベ:
- 空間デザイン系、ですか?
- M さ ん :
- はい。店舗開発に関する勉強を大学の講義で受けて楽しいと感じたので、それを活かしていきたいなぁと思っています。
- ワタナベ:
- そうですか。大学で学んだことを活かして仕事がしたいと思っているんですね。
でも、Mさんが言った◯◯系というくくりで就職活動をするとちょっとぼやけてしまうかもしれませんね。
- M さ ん :
- え!?業界を絞ったほうがいいと聞いたので、自分の場合は、やりたい仕事のイメージに合う空間デザインかなぁと思い、その業界を考えていたのですが…
- ワタナベ:
- やりたい仕事のイメージから考えるのはとても重要です。しかし、そこで「自分は空間デザイン系だ」と思って見落としがあったりするんですよ。
- M さ ん :
- 見落とし?
- ワタナベ:
- そうです。金融業界や広告業界、住宅業界etc...就活をしていると多くの「業界」を知ることになりますが、私たちが持つ「この業界はこういう仕事」というイメージは実は間違っていることが結構あるんです。
あとは業界の枠を決めて行動すると、これまで知らなかった魅力に出会うチャンスをなくしてしまう可能性があるのでもったいないと思いますね。
- M さ ん :
- 業界の枠が邪魔をして他が見えなくなっちゃう、という感じですかね。
- ワタナベ:
- そうですね。そうとも言えますね。

- M さ ん :
- それは意外でした…。自分では◯◯系のほうが行きたい方向に沿った就活ができると思っていました。
- ワタナベ:
- 全く絞らないのは確かに動きづらいかもしれませんが、ボヤッとした業界イメージを持って動くくらいなら、業界ではなく「その会社単体」で見て、自分と合うかどうかを見ていったほうが、より行きたい方向が見つけやすいのでおすすめですね。
ちなみにMさんがやってみたいなぁと思う店舗開発をしている会社名って挙げられますか?
- M さ ん :
- 社名は・・・まだ挙げられないですね。
- ワタナベ:
- そうですか。ではまず1社、具体的な社名を挙げて、そこから業界を調べていくと就職活動は進めやすくなると思います。
極端な話ですが、挙げた会社が採用をしているか、していないかは置いておいたとしても、まずは1社選んでみると業界研究もうまくいきますよ。
- M さ ん :
- 採用していない会社でもいいんですか!?それはどうしてですか?
- ワタナベ:
- 仮にその会社が採用していなくても、「◯◯社」(←行きたい業界の具体的な1社)と同じ業界に属する会社を探すのは意外と簡単だからです。
1つの業界に1社しかない、ということはまずあり得ないので、ライバルとなる会社や、その会社とつながりがある会社は就職サイトに限らずインターネット上、または新聞や情報誌などでも探すことができます。場合によっては就職課の方や、つながりのある社会人の方に聞いてみてもいいですしね。
- M さ ん :
- そうなんですね。1社を絞って調べるとその周りから関係する情報が拾えるということですね。

- M さ ん :
- これまでは自分がなんとなく持ってる「業界のイメージ」で興味のある、ないを決めていました。そうなると自分が行きたいと思う業界は実は違っていた、ということもありそうですね。
- ワタナベ:
- そうですね。それに、実際には「この業界で仕事がしたい」と思って就職する方ばかりではありません。何となく雰囲気や、やっていることが自分に合っていると感じて入社した会社の業界が◯◯業界だった、という風に入社後に理解する人もいるくらいなんです。
- M さ ん :
- 業界から入っていく就職ではなくて、その会社のやっていることや人を見て就職するという感じでしょうか?
- ワタナベ:
- そうです。「こんな仕事がしたいという具体的なイメージ」と「◯◯業界で働く」は必ずしも一致しないのです。就職活動で重視したほうがいいのはやはり、自分で描いたイメージや実際に会社に触れて感じる自分の印象の方だと思います。自分の求める仕事像を現実とすり合わせていくのが、就職活動だと言ってもよいでしょう。自分の足で動き、できるだけ多くの人の話を聞いて「自分のやってみたい仕事」の全体像を形にできるといいですね。
- M さ ん :
- わかりました!これからは、これまで考えていた業界のイメージを取って企業を探してみようと思います!

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講師:渡辺 徹
高崎経済大学を卒業後、就職情報会社、出版社を経てフリーに。
公共事業の運営メンバーとして未就職者の就業支援に携わった経験をベースに、大学生の就職活動と企業の採用活動をサポートしている。 |
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